正晴の言葉に驚愕して体から負のオーラが出そうになった時、言葉と同時に鉄拳が正晴に飛んでいた。
「ちょっと、正晴!! この藤堂クンが前に言ってた人だよ!!」――かなり強めに突っ込まれてたけど痛そうだなぁ……。 しかしこの二人、くっついたり別れたりしているだけあってさすがに仲がいいし。ぎこちなさが無い。「え? 真司が!?」 どんな話されたのかは分からないけど、この子も相手が男だとは伝えてなかったみたいだな。 さりげなく会話するふりをしながら、俺は正晴の様子をうかがう。遠野と妻野のカレシは影響が出ていると言っていたから、目の前の、正晴にも出ていると思ったからだ。しかしそんな気配は感じられなかった。それとは別に三和の方は――。
「何だよ真司、それならそうと昔から言ってくれりゃいいのに」 真顔でそういう正晴に俺は苦笑いで返した。「言えるわけないだろ……そんな事」
二人がカレン組の方へ腰を下ろしてようやく始まりの盛り上がりは落ち着いた。
「三和さん体調良くないんですか?」
俺の隣で静かにホットチョコレートを飲んでいた伊織が[三和]の方を見て話しかけた。「ええ、その……わかりますか?」
皆がうなずいた。「最近少しづつですけどダルさとか出て来ていて、アレはまだ見えてるし。声まで聞こえるようになってしまって」
「あの二人はどうなの?」「それが、響子ちゃんからあの湖に行って来たって連絡あった日から、そういうのは全然なくなったって言ってて。私だけいまだに続いてるの」響子の問いかけにも疲れている感じに答える。
――少し解決を急いだほうがいいかもしれない。
俺の心がそう言い始めてる気がする。「すいません三和さん、聞きたいことがあるんですが、その現象が現れた日は1人でそこに行ったわけじゃないですよね?」
「え? ええ、そうです」